仮想通貨市場は、株式市場や為替市場に比べてボラティリティ(価格変動幅)が圧倒的に大きいのが特徴です。
ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など主要銘柄でも、1日に数%〜数十%動くことは珍しくありません。
このため、単なる移動平均線だけでは捉えきれない細かな値動きや、
大きなトレンド発生の兆しを見逃さずに捉えるためには、**ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)**が非常に役立ちます。
特に仮想通貨トレードでは、
- トレンドが急激に発生しやすい
- フェイク(だまし)も多く、慎重なエントリー判断が必要
- 短期・中期のタイムフレームを意識する必要がある
といった特徴があり、
ボリンジャーバンドを使いこなすことで、**「無駄なトレードを減らし、チャンスだけを狙う」戦略が可能になります。
この記事では、ボリンジャーバンドの基本的な使い方に加え、
仮想通貨市場で特に有効な3つのトレード戦略を実践的に解説します。
✅ バンドウォークを利用したトレンドフォロー手法
✅ スクイーズ(収束)からのブレイクアウト戦略
✅ 3σ超えを狙った逆張りエントリー戦略
これらを理解すれば、
仮想通貨トレードにおけるボリンジャーバンドの本当の実力を引き出すことができるでしょう。
初心者の方はもちろん、
「ボリバンを使ったけどうまくいかなかった」という中級者にも役立つ内容になっています。
ぜひ、最後まで読んであなたのトレードスキル向上に役立ててください!

ボリンジャーバンドとは?|仕組みと基本構成を徹底解説
ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)とは、
価格の平均的な動き(移動平均線)に、統計学の標準偏差(σ:シグマ)を加味して作られるテクニカル指標です。

1980年代にアメリカの投資家ジョン・ボリンジャー氏によって開発され、
今では世界中のトレーダーに最も広く使われている指標のひとつとなっています。
ボリンジャーバンドの基本構成は以下の3つです。
ライン名 | 内容 | 意味 |
---|---|---|
ミドルライン(中央線) | 20日単純移動平均線(SMA) | 相場の中期的な基準 |
アッパーバンド(+2σライン) | ミドルライン+標準偏差2倍 | 価格上限目安 |
ロワーバンド(-2σライン) | ミドルライン−標準偏差2倍 | 価格下限目安 |
ミドルライン(中央線)の役割とは?
ボリンジャーバンドの真ん中に位置するミドルラインは、
単なる平均価格を示すだけではありません。
- 上昇トレンド中はサポートライン(支え)になる
- 下降トレンド中はレジスタンスライン(壁)になる
- レンジ相場では価格の中心軸として機能する
つまり、ミドルラインを基準に押し目買いや戻り売りのポイントを探ることができるのです。
±1σ・±2σ・±3σの違い|チャートイメージ
ボリンジャーバンドは、±1σ、±2σ、±3σという範囲を設定することで、
「この範囲内に価格が収まる確率」を示しています。
シグマ | 確率 | 説明 |
---|---|---|
±1σ | 約68.3% | 通常の値動きの範囲 |
±2σ | 約95.4% | ほとんどの価格が収まる範囲(重要) |
±3σ | 約99.7% | ほぼすべての価格が収まる(異常領域) |
特に±2σの範囲は、トレード戦略上最もよく意識されるゾーンであり、
価格が+2σに触れた場合には「買われすぎ」、-2σに触れた場合には「売られすぎ」のサインと見ることができます。
仮想通貨市場におけるボリンジャーバンドの特徴的な動き
仮想通貨市場では、価格変動が非常に大きいため、
ボリンジャーバンドが急拡大(エクスパンション)したり急収縮(スクイーズ)したりする動きが頻繁に見られます。
特に注意したいのは、
- バンドが一気に広がると、新しいトレンド発生の兆し
- バンドが極端に狭まったときは、ブレイクアウトの準備段階
であることです。
この性質を理解することで、
仮想通貨特有の急騰・急落にも冷静に対応できるようになります。
戦略①|バンドウォークを使ったトレンドフォロー手法を極める
バンドウォークとは?
バンドウォークとは、価格がボリンジャーバンドの±2σライン付近を沿うように連続して推移する現象のことを指します。

これは単なる一時的な勢いではなく、強いトレンドが発生しているサインと見なされます。
一般的には、
- 上昇バンドウォーク:価格が+2σラインに沿って上昇
- 下降バンドウォーク:価格が-2σラインに沿って下落
するパターンが多く、
この動きを捉えてトレンドに乗ることで、高い勝率を狙うことができます。
バンドウォーク成功パターン|乗るべき形
以下の条件が揃ったバンドウォークは、比較的成功しやすいです。
- ミドルライン(20SMA)が明確に上向き/下向き
- 価格が連続して+2σラインにタッチし続けている
- 出来高が徐々に増加している(トレンドに力強さあり)
- ローソク足の実体がバンド内に収まり切らずはみ出している
成功例(仮想通貨BTC/4時間足)
例:ビットコインがサポートされながら4本連続で+2σを沿って上昇 → その後一気に5%上昇
バンドウォーク失敗パターン|避けるべき形
一方、以下のようなバンドウォークには要注意です。
- ミドルラインが横ばい(明確なトレンドがない)
- バンド幅が極端に狭い(スクイーズ直後でない)
- 出来高が伴わない
- ローソク足のヒゲが頻繁に±2σを飛び越える
失敗例(仮想通貨ETH/5分足)
例:イーサリアムが+2σタッチ後すぐに-1σまで反落 → フェイクアウト発生、損切りライン直撃
【実践テクニック】タイムフレーム別バンドウォーク攻略法
タイムフレーム | 特徴 | バンドウォーク活用ポイント |
---|---|---|
5分足〜15分足(短期) | ノイズが多いが小さく稼げる | 出来高確認と短期利確が必須 |
1時間足〜4時間足(中期) | 比較的きれいなトレンドが出る | ミドルライン押し目買い/戻り売りが有効 |
日足(長期) | 超大型トレンド発生 | スイングトレード向き、強気にポジション維持 |
特に仮想通貨市場では、
「4時間足以上」でバンドウォークが出た場合、信頼度が一段と高まる
と覚えておきましょう。
【補足】バンドウォーク終了サインの見抜き方
バンドウォークは永遠に続くわけではありません。
終了の兆候を早めに察知できるかどうかが勝敗を分けます。
終了サインの例:
- ローソク足の実体がミドルライン(20SMA)を割り込む
- 出来高が急激に減少する
- RSIなど他インジケーターで「ダイバージェンス(逆行現象)」が発生する
特に、「ミドルライン割れ」は即ポジション解消を検討する強力なサインです。
戦略②|スクイーズからのブレイクアウトを狙え!
スクイーズとは?|ボリンジャーバンドの収縮現象
スクイーズ(Squeeze)とは、
ボリンジャーバンドのバンド幅が極端に狭くなる状態を指します。
スクイーズ状態は、
「エネルギーが溜まっている(市場が力を蓄えている)」サインであり、
その後、大きなトレンドが発生する可能性が非常に高い局面です。

スクイーズの前兆サイン|エントリー準備のコツ
スクイーズの直前には、以下のようなサインが現れることが多いです。
- バンド幅が明らかに縮小してきた
- 出来高が減少し、ローソク足が小さくなる
- ミドルライン(20SMA)付近で価格が推移し続ける
- ±1σ以内でローソク足が収まり続ける
これらのサインを確認できたら、**「そろそろ大きな動きが来るかも」**と警戒態勢に入りましょう。
スクイーズ後のエントリー方法|成功率を上げるコツ
スクイーズ後は、どちらかのバンド(+2σまたは-2σ)を勢いよくブレイクした方向にエントリーするのが基本です。
【エントリー手順】
- スクイーズ確認(バンド幅極狭)
- 上か下に明確にブレイクするのを待つ
- 出来高の増加も確認できたらエントリー
- 直近安値/高値にストップロス設定
ポイント
- 最初の「飛び出し」だけではなく、確定足(終値)で判断する
- フェイク(だまし)に巻き込まれないよう慎重に
スクイーズ成功例と失敗例|仮想通貨市場実例
成功例(仮想通貨BTC/1時間足)
- 長時間スクイーズ(6時間以上)
- 出来高増加とともに+2σをブレイク
- 1日で10%超の急騰
失敗例(仮想通貨SOL/5分足)
- スクイーズ後に+2σブレイク
→ すぐに反落して-2σまで下落(フェイクアウト)
失敗例では、「出来高が伴っていなかった」「ニュースによる急変動」が原因だったりします。
スクイーズ後の利確・損切り戦略
トレードで利益を最大化するには、出口戦略も超重要です。
【利確目安】
- バンド幅が最大まで拡大した後、ローソク足がミドルラインへ回帰し始めたら利確
- 「ATR(平均的な変動幅)」などを使って利幅目標を設定してもOK
【損切り目安】
- ブレイク方向と逆に戻された場合(エントリー起点を割り込んだら即撤退)
- 直近高値・安値の外側にストップを置く
スクイーズ後のブレイクは爆発的ですが、
「動かなかったら即撤退」が鉄則です。
戦略③|3σ超えを狙った逆張りエントリー戦略
なぜ3σ超えは逆張りチャンスなのか?
ボリンジャーバンドの±3σラインを超える価格動きは、
統計的に見て99.7%の価格変動範囲を逸脱した異常事態を意味します。
つまり、
- 買われすぎ(+3σ超え)
- 売られすぎ(-3σ割れ)
という状態にあり、
その後リバウンド(反転)する可能性が非常に高い局面です。
ただし、仮想通貨市場は株式や為替以上に「異常事態」が続きやすいため、
エントリーの精度と損切り設定が極めて重要になります。
3σ逆張りエントリー手順|安全な入り方
【手順】
- +3σまたは-3σを明確に超えたことを確認する
- 反転サイン(ローソク足パターン例:ピンバー、包み足、ハンマーなど)が出るのを待つ
- 次の確定足でエントリー
- エントリーポイントの少し外側にストップロスを置く
【ポイント】
- 飛びつき禁止!(初動でエントリーすると死亡率高)
- 必ず反転確定サイン後に入る
- エントリー直後にすぐ逆行するなら潔く損切りする
3σ逆張り 成功パターンと失敗パターン
パターン | 成功例 | 失敗例 |
---|---|---|
成功 | -3σを一時的に大きく割った後、ハンマー出現→急反発 | |
失敗 | 強い上昇トレンド中に+3σを超えても押し目なしでさらに高騰 |
仮想通貨の特徴:
特にビットコインやアルトコインの暴騰局面では、
+3σタッチ後もさらに上昇を続けることがよくあります。
そのため、逆張りを狙う際は「トレンドの勢い」を必ず確認してください。
ストップロス設定|必ず守るべき逆張りの鉄則
逆張り戦略では、損切りルールの厳守が生死を分けます。
- エントリーした直近高値(売りの場合)・直近安値(買いの場合)の少し外にストップを設定
- 「ここを超えたら自分のシナリオが崩れる」という明確なラインで決める
- 損切り幅に応じてロットサイズを調整する(リスク管理)
✅ 特に仮想通貨では、リバウンドを待っている間にさらに数%動くこともあるため、
絶対にノンストップで放置しないこと!
【注意】トレンド転換を狙わないこと!
3σ超えを狙う逆張りは、あくまで短期リバウンド取りです。
トレンド転換(長期的な流れが変わること)を期待して持ち続けると、
含み損が膨らみ続ける「地獄モード」に突入する危険があります。
- 短期回収が鉄則(数本のローソク足で完結させる)
- 欲張らない利確が正解
ボリンジャーバンド活用時に注意すべきポイント|だましを回避するために
ボリンジャーバンドは非常に強力なツールですが、
「バンドタッチ=売り買いのサイン」と単純に考えるのは危険です。
仮想通貨市場のようなボラティリティの高い市場では、
フェイクシグナル(だまし)が頻繁に発生します。
ありがちな失敗パターン
- +2σにタッチしたからといってすぐ逆張り→そのままバンドウォークに突入し損切り
- スクイーズ直後に飛び乗ったが、初動がフェイクで逆方向に戻された
- 3σ超えだからと逆張りしたが、超強いトレンド中でさらに踏み上げられた
共通点は何か?
→ 「ボリンジャーバンド単体でしか判断していない」ことです。
だましを回避するための3つのチェックポイント
✅ 出来高の確認
- 出来高が増加しているときのブレイクは本物の可能性が高い
- 出来高が少ないままのバンドブレイクは要警戒
✅ ローソク足パターンの確認
- 反転サイン(ピンバー・包み足など)を必ず待つ
- ただのバンドタッチで慌ててエントリーしない
✅ 複合インジケーター活用
- MACDでトレンド方向を確認
- RSIで買われすぎ・売られすぎを確認
- 出来ればATR(平均的な変動幅)でターゲット設定も
【おすすめ】MACDとRSIを併用する簡単テクニック
インジケーター | チェックポイント |
---|---|
MACD | ゴールデンクロスなら上昇の勢いあり/デッドクロスなら下降の勢いあり |
RSI | 70以上なら買われすぎ、30以下なら売られすぎの可能性 |
例えば:
- ボリンジャーバンドが+2σタッチ
- 同時にMACDがゴールデンクロス
- RSIが50付近でニュートラル
なら、逆張りせずに「順張り」でトレンドフォローすべきと判断できる、という感じです。

仮想通貨市場特有の注意点
- ニュース(例:ETF承認、ハッキング事件)で一気に方向感が崩れるリスクあり
- スプレッド(買値と売値の差)が大きいタイミングも多い
- 特に夜間・早朝(日本時間)の流動性が薄い時間帯にフェイクが発生しやすい
✅ 仮想通貨では、「ファンダメンタルズ要因による急変動リスク」も必ず意識することが大切です。
まとめ|ボリンジャーバンドを武器に仮想通貨トレードを極めよう
この記事では、
仮想通貨トレードにおけるボリンジャーバンドの基本的な使い方から、
実践的な**3つの戦略(バンドウォーク/スクイーズブレイクアウト/3σ逆張り)**まで徹底的に解説してきました。
改めてポイントを整理すると──
✅ ボリンジャーバンドは「価格の幅」を可視化するツールであり、単なる逆張り用インジケーターではない
✅ バンドウォーク=トレンドフォロー型エントリー、スクイーズ=エネルギー開放の爆発ポイントを狙うべき
✅ 3σ逆張りはリバウンド狙いに有効だが、必ず反転サインを待つこと
✅ フェイク(だまし)を防ぐために、出来高・ローソク足パターン・MACDやRSIとの複合判断が重要
ボリンジャーバンドをただ「見るだけ」では勝てません。
大切なのは、相場の背景(トレンドの勢い・出来高・市場のムード)を読み解く目を養うことです。
最後に|これからボリンジャーバンドを使いこなすあなたへ
仮想通貨市場は、他の金融市場に比べて値動きが激しく、チャンスも多い分、
失敗すれば損失も大きくなりやすいという特徴を持っています。
だからこそ、
- 狙うべきときにだけ勝負する
- 小さなサインも見逃さない
- 冷静な損切り判断を持つ
この3つを意識しながら、
「勝ちパターンを繰り返す」トレードスタイルを目指しましょう。


