仮想通貨を運用していると、「ETHをUSDTに交換した」「SOLをADAに変えた」など、通貨同士のスワップ(交換)を行う機会があると思います。
これらは取引所の機能やDeFi(分散型金融)サービスを通じて簡単に行えますが、「スワップって税金かかるの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
実は、仮想通貨同士の交換でも日本の税法上は「利益確定」と見なされ、課税対象になるのが原則です。売却ではないから非課税だと思い込んでいると、後々の確定申告で思わぬ申告漏れや追徴課税のリスクに繋がりかねません。
この記事では、仮想通貨のスワップ取引がなぜ課税対象になるのか、どのように税金を計算すればいいのかを、初心者にもわかりやすく解説していきます。
さらに、具体的なシミュレーション例や、確定申告時の注意点、使える計算ツールや税理士への相談ポイントまで網羅。仮想通貨取引が増えてきた方、申告の正確性に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
👉この記事でわかること
- 仮想通貨スワップとは何か?交換でも課税される理由
- スワップ時に発生する所得の計算方法と考え方
- ETHやUSDTなど実例に基づいた計算シミュレーション
- 確定申告で見落としがちな注意点と対策
- 税金計算をラクにするツールやおすすめの相談先
👉スワップだけでなく、ステーキングやなどの運用をしている方は、それぞれの税務処理も確認しておきましょう。

仮想通貨の「スワップ」とは?交換でも課税されるの?
スワップ(仮想通貨同士の交換)の基本仕組み
仮想通貨の「スワップ」とは、ある仮想通貨を別の仮想通貨に直接交換する取引のことを指します。たとえば「ETH(イーサリアム)をUSDT(テザー)に交換する」といった操作がそれに該当します。
これはDeFi(分散型金融)サービスや、Binance・Bybitなどの中央集権型取引所で頻繁に行われる一般的な機能です。法定通貨を介さず、ワンクリックで他のコインに置き換えられる点が魅力で、ポートフォリオのリバランスや価格変動への対応に便利です。
一見「売却」や「現金化」ではないように思えるこの取引ですが、日本の税制上はある仮想通貨を売って、その対価で別の仮想通貨を買ったとみなされるため、単なる交換と捉えるのは非常に危険です。
なぜ課税対象になるのか?国税庁の解釈を解説
日本の税法において、仮想通貨は「資産」として扱われており、仮想通貨を使って別の仮想通貨を取得した場合、その時点で「譲渡所得(雑所得)」が発生します。国税庁が公式に公表しているQ&Aにも、「仮想通貨同士の交換は売却と同様の課税対象」と明記されています。
つまり、たとえ手元に日本円が入ってこなくても、「取得時よりも価格が上がっていた仮想通貨を交換した瞬間に利益が確定する」と判断されるのです。このようにスワップ取引は見落とされがちですが、課税リスクを伴う重要なトピックです。後の確定申告でトラブルにならないよう、仕組みと課税対象となる理由をしっかり把握しておくことが大切です。
スワップ取引時の税金計算方法をやさしく解説
所得区分と計算式の基本
仮想通貨のスワップで得た利益は、基本的に「雑所得」として分類されます。これは給与所得や事業所得とは別枠で扱われ、総合課税の対象になります。つまり、他の所得と合算された上で累進課税が適用されるため、所得が多いほど税率も高くなる仕組みです(最大45%+住民税10%)。
スワップによって発生する所得は、以下の計算式で算出します:
スワップによる所得 = 交換元通貨の時価(円換算)- その通貨の取得価額(円)
たとえば、ETHを購入したときの価格が1ETH=20万円で、それを1ETH=40万円の価値でUSDTにスワップした場合、差額の20万円が課税対象の所得になります。交換先の通貨であるUSDTの取得価額は、スワップ時点の時価(=ETHの時価)として記録されます。
このように、「通貨を持ち続けているつもり」でも税金が発生するため、取引ごとに記録を残しておくことが非常に重要です。
取得価額と時価の算出ポイント
仮想通貨のスワップで利益を正確に計算するには、「取得価額」と「スワップ時の時価」を正しく把握する必要があります。
まず、取得価額とはその仮想通貨を購入した時点の日本円での購入価格のことです。たとえば海外取引所でUSDT建てで購入していた場合も、当時の為替レートを使って円換算しなければなりません。取得価額の集計方法には「移動平均法」や「総平均法」がありますが、一般的には総平均法(1年間の平均取得単価)が推奨されています。
一方、時価とはスワップした時点におけるその仮想通貨の市場価格(日本円換算)です。多くの場合、スワップが成立した瞬間の価格で問題ありませんが、取引所によっては若干のスリッページ(価格差)があるため、履歴をしっかり確認しておくことが重要です。
この「取得価額」と「時価」の差額があなたの利益となり、税金の対象になります。とくに複数の通貨を頻繁に取引している場合は、手動での管理が煩雑になりやすいため、税金計算ツールの活用も検討しましょう。
仮想通貨スワップの具体的な計算例(シミュレーション付き)
ETH→USDTに交換した場合の損益計算
まずは最も基本的な例として、ETH(イーサリアム)をUSDT(テザー)に交換するケースを見てみましょう。
たとえば、あなたが過去に1ETHを20万円(日本円換算)で購入していたとします。そして、ある日その1ETHをスワップ機能を使ってUSDTに交換したときのETHの価格が40万円だった場合、次のように税金計算が行われます。
- 取得価額:20万円
- スワップ時の時価:40万円
- 所得金額(課税対象):40万円 − 20万円 = 20万円
この20万円が雑所得として計上され、総合課税の対象となります。交換によってUSDTという別の資産を得た瞬間、利益が確定したと見なされるため、たとえ日本円に変えていなくても税金が発生するのです。
なお、USDTの取得価額はスワップ時点の価格(=40万円)となり、その後USDTをさらに別の通貨に交換する場合も、同様のルールで税金計算が必要です。
複数通貨をスワップしたケースの注意点
次に少し複雑なケースとして、「複数の仮想通貨を一度にスワップ」した場合を見てみましょう。たとえば、ETHとSOL(ソラナ)をUSDTに一括交換したとします。
それぞれの取得価額とスワップ時の時価が次の通りだと仮定します:
- ETH:取得価額=200,000円/時価=300,000円
- SOL:取得価額=10,000円/時価=20,000円
この場合の雑所得は以下の通り:
- ETHの所得=300,000 − 200,000 = 100,000円
- SOLの所得=20,000 − 10,000 = 10,000円
- 合計雑所得=110,000円
ポイントは、各通貨ごとに個別で取得価額と時価を計算し、それぞれの差額を合算するという点です。また、スワップ機能でまとめて交換した場合でも、取得時点や単価が異なる仮想通貨は個別に管理しなければならないため、しっかりと履歴を記録・分類しておくことが大切です。
とくに複数年にまたがる取引や、DeFi経由でのスワップなどは複雑化しやすいため、計算ツールや税理士の活用を検討する価値があります。
👉複数通貨での取引や海外取引所を利用している場合は、税金の処理がさらに複雑になります。以下の記事では、年をまたいだ税金計算の落とし穴についても解説しています。

確定申告時の注意点とよくある誤解
スワップは非課税と誤認しやすい理由
仮想通貨ユーザーの中には、「スワップは売却していないから非課税でしょ?」と誤解している方が少なくありません。これは日本円に換えていない=利益確定していないという思い込みによるものです。しかし、日本の税制では仮想通貨を他の仮想通貨に交換した時点で、その価値差分が「譲渡益」として課税対象になると定められています。
とくにDeFiなどのプラットフォームでは、スワップが非常に簡単に行えるため、感覚的には「資産を持ち替えただけ」と捉えてしまいがちです。また、取引履歴が明細として残らなかったり、通貨の時価が自動記録されないこともあり、計算が後回しになってしまう傾向があります。
しかし、スワップを非課税と誤って処理してしまうと、後から税務署に指摘された際に「申告漏れ」と判断される可能性があるため、十分に注意が必要です。
👉DeFi取引の税務処理は、レンディングや流動性供給(LP)なども含めて複雑です。以下の記事も参考になります。

申告漏れを防ぐためのチェックリスト
仮想通貨のスワップ取引は、通常の売買と同じように課税対象となるため、確定申告の際には以下の点を事前に確認することが重要です。
✅ 取得時の価格(円換算)を記録しているか?
✅ スワップ時の時価(円換算)を把握しているか?
✅ 取引履歴はCSVまたはAPI連携などで整理してあるか?
✅ 利益が出ている場合、他の仮想通貨と合わせて損益通算できるかを検討したか?
✅ 確定申告ソフトまたは仮想通貨専用の計算ツールを活用しているか?
また、複雑な取引が多い方は、仮想通貨に精通した税理士に相談するのも有効な手段です。とくに複数の取引所を使っていたり、海外取引が絡むケースでは、税務上の見解が分かれることもあるため、専門家のチェックを受けることで安心して申告できます。
よくある質問(FAQ)
Q1:仮想通貨を他の仮想通貨に交換しただけでも税金がかかるの?
A:はい、かかります。
日本の税法では、仮想通貨同士の交換も「資産の譲渡」とみなされるため、利益が出ていれば課税対象となります。たとえ法定通貨(日本円)を介していなくても、交換時の価格差により所得が生じたと判断され、雑所得として申告が必要です。
Q2:スワップで損した場合でも申告しないといけませんか?
A:基本的に利益が出ていなければ課税されませんが、損益通算ができない点には注意が必要です。
仮想通貨の雑所得は他の所得と損益通算できず、損失の繰越控除も不可です。損失が出た場合は申告義務はありませんが、後の利益と相殺できない点は理解しておきましょう。
Q3:海外取引所でのスワップも課税対象になりますか?
A:はい、国内外問わず課税対象になります。
たとえ海外取引所(Binance、Bybitなど)でスワップを行っていたとしても、日本居住者であれば日本の税制が適用されます。 海外での取引履歴も含めて申告する義務があるため、全ての取引履歴を取得・保存しておくことが重要です。
Q4:スワップ取引の履歴が残っていない場合はどうすれば?
A:取引所の履歴ダウンロードや、取引管理ツールの活用を検討しましょう。
履歴が残っていない場合は、ブロックチェーンのトランザクション履歴から手動で確認するか、**仮想通貨の取引管理ツール(CryptactやGtaxなど)**を使うことで自動的に取得できるケースがあります。履歴が曖昧なまま申告するとリスクが高いため、早めに記録の整理を行うことをおすすめします。
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まとめと今後の対策|おすすめの計算ツールや相談先も紹介
仮想通貨のスワップ取引は、法定通貨を介さない「通貨同士の交換」であることから、つい課税対象外と勘違いしやすい取引です。
しかし、日本の税制ではスワップも「譲渡」とみなされ、利益が出ればしっかり課税対象となります。特にETHやSOL、USDTなどのメジャー通貨を利用して頻繁に取引している方は、年間で多くの雑所得が発生している可能性があります。
正確な税金計算とスムーズな確定申告を行うためには、取得価額とスワップ時の時価を都度記録し、利益の発生を把握することが最も重要です。複数通貨や取引所を使っている場合には、以下のようなツールを活用するのが現実的です。
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