2025年7月30日、国民民主党代表の玉木雄一郎氏が自身のX(旧Twitter)で暗号資産の税制改正に関する考えを投稿し、大きな注目を集めました。現在、暗号資産の個人所得は「雑所得」として最大55%が課税されますが、玉木氏はこれを株式などと同様の「分離課税(約20%)」に変更すべきだと明言しています。
さらに、金融庁も同日から金融審議会を開催し、暗号資産の法的位置付け見直しを開始。政界・行政・業界の三者が動き出すタイミングでの発言は、制度改正への現実味を一気に高めています。
現在の税制では最大55%課税…なぜ分離課税が求められるのか?
日本では、暗号資産で得た利益は「雑所得」として扱われ、他の所得と合算されて累進課税(最大55%)が適用されます。これにより、高所得者は利益の半分以上を税金で失うことになり、投資活動を萎縮させる要因となっていました。
一方、株式やFXは20.315%の分離課税が適用され、損益通算や損失繰越も可能です。この不公平な課税体系が日本の仮想通貨ユーザーに不利に働いていると以前から指摘されていました。
玉木氏は「世界各国では暗号資産は金融商品と同様に扱われている」として、税制の国際的な整合性を訴えています。
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世界はすでに20%以下の課税が主流、日本だけが取り残される構図
玉木氏は投稿内で、アメリカのトランプ大統領(再任)が「暗号資産を国家経営に資するもの」と評価している点にも言及。実際にアメリカやシンガポール、欧州諸国、UAE、香港などでは仮想通貨を20%以下の税率または非課税で扱う例が増えています。
かつて世界の取引量の約半分を日本が占めていた時代もありましたが、現在では世界市場規模約500兆円のうち、日本が担うのはわずか1%(約5兆円)。この現実に対し、玉木氏は「いまこそ評価を変えるべき」と強く訴えました。
金融庁も同日から議論開始、制度改正の機運が高まる
今回の投稿とほぼ同タイミングで、金融庁は「金融審議会」を開催し、暗号資産の法的位置付けや課税の在り方を再検討する方針を示しました。この動きは、業界団体による「分離課税の導入要望書」発表とも重なり、制度改革の現実味が日に日に増しています。
国民民主党は「暗号資産取引の手取りを増やす」と公約にも掲げており、玉木氏の投稿はその延長線上にあります。政党として制度改正を後押しする姿勢が明確になったことで、与野党問わず議論が広がる可能性も出てきました。
用語解説:雑所得・分離課税とは?
雑所得(総合課税)
給与や事業所得などと合算して課税され、所得が多い人ほど税率が上がる累進課税方式(最大55%)。
分離課税
株やFXなどと同じく、一律20.315%(所得税+住民税)で課税される方式。税率が明確で、損益通算や損失繰越が可能な点が特徴。
この違いにより、暗号資産が分離課税に変更されれば納税額は大きく下がり、投資の健全な拡大が見込まれます。
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今後注目すべきポイント(まとめ)
金融庁の審議会と国会での法改正提案の動向に注目です。暗号資産への分離課税が実現すれば、日本市場の再活性化と税務負担の適正化が期待されます。

