何が起きたか:主要DEXの流動性18.4億ドルのうち85%が遊休状態
ビトちゃんねえロボ、DeFiのプールに16億ドル眠ってるって聞いたんだけど、それって誰かが銀行に預けっぱなしにして忘れちゃったってこと?



忘れたわけじゃないんだ。ちゃんとそこにあるのに、値段の設定がズレてて誰も使えない状態なのさ





え、お金に値段がズレるとかあるの?意味わかんないよ



DEXっていう、会社を通さず自動で交換できる取引所があるんだけどね。そこにお金を置くとき「この価格帯で使ってね」って範囲を自分で決めるんだ



あ、じゃあ相場がその範囲から外れちゃったら…もしかして働かないニートみたいになるの!?



まさにそれだよ。手数料もゼロ、取引の役にも立たない。それが全体の85%もあるって話なんだ
分析企業のDune(デューン)が2026年7月18日に公表した調査で、主要なDEX(分散型取引所)に預けられた流動性のうち約16億ドルが2026年上半期を通じてほとんど機能していなかったことが分かりました。
調査はDEXアグリゲーターの1inch(ワンインチ)の委託によるもので、Uniswap、PancakeSwap、Aerodromeの集中流動性プールで追跡した18.4億ドルのうち、実に85%が十分に活用されていなかったという内容です。
さらに週平均で約5.42億ドル、割合にして29.5%は、価格帯から完全に外れた状態でした。つまりこの資金は手数料を1円も稼がず、取引の厚みにも一切貢献していなかったことになります。
ここで言う集中流動性とは、資金を預ける側が「この価格からこの価格まで」と範囲を指定する仕組みのことです。相場がその範囲内にある間だけ取引に使われ、手数料が入ってきます。
逆に相場が範囲の外へ動いてしまうと、預けた側が範囲を設定し直すか、相場が戻ってくるまで、そのお金はただ寝ているだけになります。Duneのリサーチ責任者フィリッポ・アルマーニ氏は「DEXは仮想通貨で最も厚みのある市場のひとつに成長したが、流動性の多くはまだ十分に働いていない」と指摘しています。
なぜ重要か:週542百万ドルが「値段が高すぎて使えないお金」になっている意味
集中流動性の仕組みでは、預けた資金が範囲外に出ても損失が確定するわけではありません。ただ「働かない」だけです。
その機会損失は小さくなく、Duneの調査は範囲外の資金が年間およそ1.5億ドルの手数料を取り逃していると試算しています。
興味深いのは、遊休化の主因が価格の乱高下ではなく一方向への持続的な値動きだった点です。実際、ビットコイン価格は2026年1月に9万ドル付近で推移した後、6万ドル前後まで下落しました。上下に揺れて元の水準に戻った週より、こうした片道の相場のほうが資金を置き去りにしやすいわけです。
規模による差もはっきり出ています。1,000ドル未満のポジションは54%が範囲外だったのに対し、100万ドル超では26%にとどまりました。
とはいえ、範囲をこまめに設定し直せば解決するという単純な話でもありません。調整のたびに取引手数料がかかり、執行のタイミング次第では不利な価格で処理される可能性もあるため、放置と調整のどちらが得かは一概に言えない状況です。
今後の見通し:トークン化資産の拡大で遊休流動性のコストはどう変わるか
今回の調査が注目されるのは、伝統的な資産をブロックチェーン上で扱うトークン化ファンドの動きが広がりつつある局面と重なるためです。
調査を委託した1inchは、市場が拡大するほど遊休流動性のコストは重くなると指摘しています。取り残される資金が増え、取り逃す手数料も膨らむという見立てです。
実際、Duneが追跡したUniswap v3・v4、PancakeSwap v3、Aerodrome Slipstreamの7チェーンでは、2026年1月6日から6月30日までの週次データで範囲外の比率が25〜35%で推移し、2月上旬には41%近くまで上昇しました。流動性が薄くなれば、取引する側にとっては同じ注文でも価格のズレが大きくなりやすくなります。
ただし、これは特定の銘柄が値上がりするという話ではなく、DeFiの土台となる仕組みの効率をめぐる論点です。今後、機関投資家向けの資産がオンチェーンに増えていくなら、流動性をどう働かせるかは運用側の課題として残り続けます。
よくある質問
Q1. 集中流動性プールとは何ですか?
資金を預ける側が「この価格からこの価格まで」と自分で範囲を指定できるタイプの流動性プールのことです。
Duneの調査で対象になったUniswap v3・v4、PancakeSwap v3、Aerodrome Slipstreamがこの方式にあたります。範囲を狭く絞るほど同じ資金量でも取引に厚みが出て手数料効率が上がる一方、相場が範囲から外れやすくなるという表裏の関係があります。
Q2. 遊休流動性が多いと、取引する側にはどんな影響がありますか?
板が薄い状態と同じで、注文サイズに対して想定より不利な価格で約定しやすくなります。
DeFiではこれをスリッページ(注文時の想定価格と実際の約定価格のズレ)と呼びます。数字の上では18.4億ドルの流動性があっても、そのうち実際に取引を支えているのは一部にすぎない、というのが今回の調査の含意です。
Q3. レンジ外になった資金は取り出せなくなるのですか?
いいえ、引き出し自体はいつでも可能です。範囲外になった資金は手数料を稼がなくなるだけで、ロックされるわけではありません。
ただし引き出しや範囲の再設定にはそのつど取引手数料がかかり、執行タイミングによっては不利な価格で処理される可能性もあります。1,000ドル未満の小口ポジションで範囲外の比率が54%と高かった背景には、こうした調整コストが小口ほど相対的に重くなる事情もあると考えられます。
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まとめ



結局ロボ、DeFiのお金って消えたんじゃなくて、置き場所の設定がズレて働けてなかっただけなんだね!



そうそう。ポイントは3つだよ。①85%が十分に使われていない、②年間1.5億ドルの手数料を取り逃している、③小口ほど範囲外になりやすい、ってことなんだ





じゃあ私が今すぐやることは何もないってこと?お金入れてないもん



今すぐは何もなくていいよ。ただDeFiに預ける日が来たら「利回りの数字」だけ見ちゃダメで、その資金がちゃんと動いてるかを確かめる癖をつけるといいのさ



わかった!じゃあ私は範囲を毎日チェックする係になる。朝と昼と夜と…おやつの時間も!



気持ちはうれしいけど、調整のたびに手数料がかかるからね。おやつは食べるだけにしておこう
今回のDuneの調査が示したのは、DeFiの規模を測る数字と、実際に市場を支えている数字が同じではないという事実です。
表示されている流動性の総額が大きくても、そのうち何割が実際に取引で使われているかは別問題です。18.4億ドルという看板の裏側で、週平均5.42億ドルが価格帯の外に置き去りになっていたという構図が、今回はじめて具体的な数字で可視化されました。
この指摘が重みを持つのは、伝統的な金融機関がブロックチェーン上での決済やファンドの取り扱いを広げようとしている時期だからです。規模が大きくなるほど、眠ったままの資金が生む損失も比例して膨らみます。
一方で、範囲を頻繁に設定し直せば済むという単純な解でもありません。調整コストと放置による機会損失のどちらを取るかは、資金量や運用スタイルによって答えが変わります。
DeFiの利回りや流動性の数字を見るときは、その金額が本当に稼働しているのかという視点を持つことが、これからは欠かせなくなりそうです。今後、DEXの設計がこの非効率をどう解消していくのかが注目されるでしょう。












